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鈴木亮平がトロイの英雄役で主演、
ジロドゥの傑作に新風を!


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フランスの巨匠ジャン・ジロドゥの代表作『トロイ戦争は起こらない』に鈴木亮平が主演する。歴史に名高いトロイ戦争を題材にした作品で、鈴木が演じるエクトールは、トロイの英雄ながら、ギリシャとの戦争阻止に奔走する役どころ。

「エクトールは、ものすごく強い武将で英雄のイメージだったのですが、戯曲を読んでみると、英雄だけど戦争を止めようと必死になっている姿が新鮮で、それが、この作品の面白さのひとつだとも思っています。ずっと戦争が続いて、エクトールは多くの戦場で戦ってきて、もう人を殺したくない、戦争は何も生まないただの悲劇だと思っている。古代の戦士というよりは、現代人の感覚で、悲劇を止めたいひとりの男です。あまり“武将だ‼”と気負わないで演じたいですね」

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世界遺産好きで歴史も好きな鈴木は「ついつい、古代史の英雄!とか好きな方へ引っ張られてしまうから気を付けないとね」と笑って続けた。エクトールに対して、父である国王たちは反対の立場だ。そもそも、エクトールの弟パリスがギリシャの王妃エレーヌを誘拐してきたのがトラブルの始まり。エレーヌを返せと迫るギリシャ軍に対し、トロイ王たちは返さないと主張する。エクトールは彼らを説得しなければならない。

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「エレーヌはトロイ戦争のきっかけとされていますが、本当にそうだったのか。もしかしたら、エレーヌはトロイの富や宝を擬人化した存在で、ギリシャ軍の目当ては、最初からトロイへの侵略だったのかもとも思います。国王たちがエレーヌを返さないと言っているのは、色ボケではなくて、富を守り、国のプライドを守ろうとしていると考えると納得できます。だから、古代のスペクタクルでは全くなくて、作家のジロドゥは、トロイ戦争を題材にしながら、戦争とは何か、戦争を起こしてしまう人間の愚かさといった普遍的なことを書いているのだと思います。とても現代的なドラマで、深い衝撃を与える作品だと思うから、精一杯取り組む覚悟です」

クライマックスとなるのは、オデュッセウスとの会談シーンだ。

「二人はとても穏やかに話し合うんですよ。オデュッセウスも本当は戦争をしたくないのだと思います。トロイ戦争が避けられない運命だとしても、彼は運命に逆らってみようと言っていますからね。個人として向き合えば理解し合えるのに、政治や国がからむと、戦争が起きてしまう、その怖さをとても感じます。ジロドゥは外交官でもあり、この作品を書いたのは1935年で、二つの世界大戦の間なんです。戦争の裏側や交渉にも通じていたはずで、その人が何を言いたかったのか、丁寧に稽古で探していきたいと思います」

大きな運命に抗うエクトールを、どう演じてくれるか期待は高まる。

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取材・文:沢 美也子
撮影:山本祐之

 
 
 



(2017年8月29日更新)


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『トロイ戦争は起こらない』

発売中

Pコード:457-968

▼10月26日(木) 13:00/18:30
▼10月27日(金) 13:00/18:30

兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール

A席-8500円
B席-5000円

[作]ジャン・ジロドゥ
[翻訳]岩切正一郎
[演出]栗山民也
[出演]鈴木亮平/一路真輝/鈴木杏/谷田歩/大鷹明良/花王おさむ/三田和代/他

※未就学児童は入場不可。
[問]芸術文化センターチケットオフィス
[TEL]0798-68-0255

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